高機能・高精度流体解析ソルバ CRUNCH CFD

フラッシング解析の精度検証

以前に掲載の適用事例、「水のフラッシングとチョーキング流量予測」にて、CRUNCH CFDにより安定な計算が可能であることを確認しました。引き続いて、当社2012年ユーザー会(10/12開催)における電力中央研究所様のご発表「CRUNCH CFDによるフラッシング流のCFD解析」を引用して、CRUNCH CFDの予測精度検証結果を以下に示します。

電中研報告L11016「フラッシングエロージョンの評価手法の構築」で報告されている試験装置を以下に示します。この試験装置にて、配管体系の温水フラッシング試験を実施しました。フラッシング試験部入口の圧力、温度がパラメーターです。質量流量を測定しました。

フラッシング試験装置の写真、フラッシング試験装置のフロー

CRUNCH CFDの解析で用いた計算格子を以下に示します。実験で用いた配管・オリフィス形状であり、軸対称2次元を仮定し、周方向5°分のみを計算対象としました。格子数は25,000ノード点であり、オリフィス部の最小格子幅は0.05mmです。

計算格子の概要

実験条件は下表に示す4ケースです。入口の圧力、温度がパラメータです。温度と、指定圧力に対応する飽和温度の差がサブクール度です。サブクール度がゼロに近いほど、減圧沸騰が起こり易い状況にあります。出口圧力の表示を省略していますが、オリフィス部でチョーキングを起こす条件となっています。CRUNCH CFDによる解析条件は、実験条件と同じです。

実験条件

  圧力, p
[MPa]
温度, T
[℃]
サブクール度
ΔT[℃]
Case 1 0.11 97.6 5.21
Case 2 0.20 99.0 21.1
Case 3 0.35 97.4 41.8
Case 4 0.10 92.6 8.1

解析結果として、Case 3のマッハ数分布を示します。オリフィス出口で超音速状態となっており、チョーキング現象が起こっています。

オリフィス近傍のマッハ数の分布(Case 3)

実験結果と解析結果の比較を行いました。管内質量流量を、オリフィス断面積で割った質量流束を示しています。横軸は実験結果であり、測定のエラーバーも示しました。縦軸はCRUNCH CFDによる解析結果です。両者の一致は良好であり、測定誤差範囲内で一致しています。以上より、CRUNCH CFDの精度検証結果は良好でした。

実験との質量流束の比較