CFD(流体解析)可視化ポストプロセッサ FieldView
FieldView 2023 新機能ハイライト
FieldView 2023の正式リリースを開始しました。FieldView 2023の新機能と改善点をご紹介致します。FieldViewの全機能に関する情報はFieldView User’s Guide、Working with FieldViewおよびFieldView Reference Manualをご覧ください。
クライアントサーバー・オートスタート
FieldViewのクライアントサーバーモードの自動サーバー起動機能が、HPC環境をサポートするように拡張されました。ジョブスケジューラを使用したFieldViewのクライアント・サーバ機能の実行に対応します。
※ジョブスケジューラは「PBS」に対応しています。
1. 「Login Node」でジョブスケジューラ(PBS)を介してFieldViewサーバープロセスをSubmit
2. 「Compute Nodes」上でFieldViewサーバプロセスを起動・実行
3. sshによるトンネリングを使用しFieldView Clientと通信を確立
上記の一連の処理をワンクリックで行うことが可能となりました。(サーバ設定ファイルの設定や暗号鍵等の手配など、実行環境の構築は必須)
最大値・最小値位置表示機能
物理量の最大値・最小値の位置を表示する機能が実装されました。
この機能を利用すれば、流れ場に影響を及ぼす箇所や計算で発散の原因になりそうな箇所を容易に特定することが可能です。
コントロールパネルに新たに追加された
「Scalar Min/Max 」
ボタンのチェックボックスをONにすることで、選択されている物理量の最大値、最小値の場所を画面上に表示します。また、表示色や文字のサイズ等を変更することも可能です。
atan2関数の実装
atan2関数が、ユーザー定義関数に実装されました。
これは、2つの引数を持つアークタンジェント関数です(C言語で定義されています)
atan2(y、x)は、デカルト座標平面上の原点から点(x、y)への線分と正のx軸との角度(ラジアン単位)を表します。
その範囲は[-π ; π]です。
Particle PathのPolyspheres表示
これまでのFieldViewでは表示タイプ「Spheres(球)」のみが利用可能でした。この表示タイプは大量描画に優れたパフォーマンスを発揮します。
しかし、これらの球と他のオブジェクトの交差は近似されるだけであり、ジオメトリに球が埋まるなど、正確ではない交差パターンが生じることがありました(右の画像参照)
新しい表示タイプ「Polyspheres」を使用すると、物体表面との正確な交差が得られます。ただし、「Polyspheres」は「Spheres」に比べて数倍レンダリングが遅くなることに注意してください。粒子の数が少ない場合にのみ使用することを推奨します。
VTKリーダーの機能強化
FieldView の VTK リーダーが vtkImageData をサポートするようになりました。
通常、この形式には拡張子 .vti、または複数の VTI ファイルがグループ化されている場合は .pvti が使用されます。これらの拡張子を持つファイルであれば、直接読み込むことが可能です。
また、.pvtiの拡張子を持つファイルはFieldViewの並列読み込み機能と互換性があります。
VTUデータセットのIBlank情報のサポート
IBlank情報は、非構造化VTU形式でvtkGhostTypeと呼ばれるフィールドの形式で保存されます。
このフィールドが存在する場合、このフィールドは物理量として読み込まれます。
FieldViewでは、通常、非構造化データセットにおいては、IBlankサポートはありません。
しかし、vtkGhostTypeが物理量として読み込まれるため、右の画像のようにオブジェクトの閾値処理に使用することができます。
非定常データの取り扱い強化
グリッド数が変化する非定常データへ対応しました。
もし非定常データが一連のファイルとして与えられる場合、FieldViewはそれらのファイルを読み込んで非定常データセットとして扱います。
グリッドがAdaptive Mesh Refinement(AMR)など、グリッド数が動的に変化する場合、読み込み時に表示されるチェックボックスにチェックを入れることで読み込みを行えるようになります。
Tecplot360,Ensightリーダーの実装
FieldViewのジェネリック非構造化リーダーが置き換えられ、新たに2つのダイレクトリーダー「Tecplot 360」および「Ensight」が実装されました。
Tecplot 360ファイルでは.plt、Ensightファイルでは.caseまたは.encasの拡張子を持つファイルを直接読み込むことが可能です。
FieldView 2022 の新機能
FieldView 2022の新機能と改善点をご紹介致します。FieldViewの全機能に関する情報はFieldView User’s Guide、Working with FieldViewおよびFieldView Reference Manualをご覧ください。
新しいデータ読み込み画面
データ読み込み画面をリニューアルしました。
メニューやマウスクリックが削減され、より使いやすいレイアウトとして設計されました。
- ■ 最上部はデータフォーマット選択欄です。最後に選択されたフォーマットを記憶しており、次回起動時にそのフォーマットが選択された状態で起動します。
- ■ Replaceなどの読み込みモードの設定のほか、Local Parallelなどのサーバ設定も一気に行えるようになりました。
- ■ Local Parallelを選択するだけで、Local8並列の可視化処理が可能です。(ノードロックライセンスを除く)
▲ 新しいデータ読み込み画面
半透明流線・粒子表示
流線とParticle Pathに半透明表示を適用できるようになりました。流線に隠れて見えない境界面などを透過表示させることが可能です。
- ■ 流線とParticle Pathの粒子に半透明表示を適用できます。
- ■ すべての流線タイプに適用可能
- ■ スクリプトにも対応
FVXではset_streamlines_display(), set_particle_paths_display()に新たに「transparency」という項目が追加されました。
▲ 自動車周りの流れ場における 従来の流線による可視化(左)とFieldView 2022による新しい半透明の流線での可視化 (右)
ANSYS-Fluent CFF (HDF 5) Direct Reader
ANSYS-Fluent CFF データセットのための新しいDirect Readerが実装されました。
- ■ .cas.h5/.dat.h5対応
FLUENTが新たに採用した、拡張子が.cas.h5/.dat.h5となる新しいHDF5ベースのCFF形式ファイルを直接読み込むことが可能。 注:すべてのCFF圧縮レベルに対応しています。ファイルは、読み込み時にオンザフライで圧縮解除されます。 - ■ 並列処理には未対応。
並列処理を行うにはFV-UNS形式での出力が必要。
▲ ANSYS-Fluent CFF (HDF 5) Direct Reader
リスタートファイルメニューのリニューアル
リスタートファイルメニューがシンプルにリニューアルされました。
- ■ ファイル名の指定と出力するリスタートファイルを1つのウィンドウで処理することが可能。(クリック数の削減)
- ■ 最後に出力したリスタートファイルタイプは記憶され、次回起動時にデフォルトのファイルタイプとして選択された状態で起動します。
▲ リスタートファイルメニューのリニューアル
オートパーティショナーの機能強化
各並列プロセスの負荷が平均化するように領域を再分割し並列プロセス当たりの処理ボリュームを自動調整する「オートパーティショナー」が、さらに機能強化されました。
- ■ Auto Partitionプロセスによって生成された新しい格子は、FieldView内部でのみ利用され、ユーザーに提示される格子には影響を与えません。
- ■ユーザーはどのような領域再分割が行われているか意識する必要がなくなり初期状態の領域分割構造を使って作業を継続できます。
※本機能は32並列以上のライセンスで有効となります。
また、本機能はPLOT3Dフォーマットのみの対応となります。
▲ オートパーティショナーの機能強化
myFVMPI機能
HPCシステム上で性能最適化のためにチューニングされた特定のバージョンのMPIを実行したいHPCユーザーのために、myFVMPI機能を提供します。
- ■ ユーザーは、いくつかの簡単な手順に従って、FieldViewをビルドするだけで、使用したいMPIライブラリをFieldViewに組み込むことが出来ます。
- ■ FieldViewを別のMPIにリダイレクトしたり、FieldViewと一緒にインストールされているMPIに復元するための簡単な手順も用意されています。
※本機能は32並列以上のライセンスで有効となります。
▲ myFVMPI機能
FieldView 21 の新機能
FieldView 21の新機能と改善点をご紹介致します。FieldViewの全機能に関する情報はFieldView User’s Guide、Working with FieldViewおよびFieldView Reference Manualをご覧ください。
平行コピー表示
これまでの回転・ミラーコピーに加えて、平行コピー表示を搭載しました。
- X,Y,Z方向へのコピー数と距離、方向を指定することで簡単にコピー表示ができます。
- コピー領域を跨いで、流線が切れずに滑らかに接続することができます。
- 原子炉や熱交換器、ターボ機械の翼の単位領域、1ピッチ領域の可視化面をパワーポイント上でコピーをして、画像どうしをスキマのないように接続するといった作業が不要になり、報告書等のドキュメント作成の効率が向上すると考えられます。
▲FieldView21 平行コピー表示
オートパーティション機能
PLOT3Dファイルのグリッドを自動分割して並列処理を効率化
- ハードウェアや環境の都合上、計算の並列数やブロック数を増やすことが出来ない場合でも、FieldView Parallelの32,64といった最大並列数で可視化処理をすることができるようになり、これまでよりも高速に可視化処理をすることができるようになりました。
▲FieldView21 オートパーティション
RLMライセンスマネージャ
ライセンスマネージャをFlexNet から RLM(Reprise License Manager)に変更
- ライセンスマネージャがRLMに変更になります。これによって、サーバー設定や更新、バージョンアップなどの管理が容易になります。
▲FieldView21 RLMライセンスマネージャ
FieldView 20 (2020年12月リリース) の新機能
FieldView 20の新機能と改善点をご紹介致します。FieldViewの全機能に関する情報はFieldView User’s Guide、Working with FieldViewおよびFieldView Reference Manualをご覧ください。
マルチスレッド処理によるサーフェスフロー・渦中心線・関数処理などの高速化
FieldView 19に搭載されたハイブリッドパラレル処理が、ストリームラインに加えてサーフェスフローや渦中心線・はく離線・再付着線検出処理、ユーザー定義関数処理へも拡大されました。開発元計測で15倍の高速化が図られています。
* FieldView 19との比較。FieldView CFD社による測定結果。
▲FieldView20 流線描画パフォーマンステスト
GUIデザインが4Kモニターに対応
GUIのアイコンが高解像度の4Kモニターへ対応します。
Windowsでのファイルブラウザも使いやすいデザインに変更されました。
バッフル面表示機能の高精度化
車体などのシェル要素やバッフル面など厚みのない境界面の表裏表示性能が向上しました。
▲FieldView20 バッフル面表示機能の紹介
ベクトル表示の高速化
2Dヘッダーでのベクトル(→)表示処理がGPU処理により高速化されました。
▲FieldView20 ベクトル描画パフォーマンステスト
非定常データ可視化の最適化
非定常解析結果でジオメトリに変化のある場所とない場所が混在する場合は、変化のある場所だけ描画を更新することで可視化処理が効率化されます。
▲FieldView20 非定常データ読み込み速度比較